ハングル - Wikipedia
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ハングル(한글、hangeul)は、朝鮮語または韓国語を表記するための表音文字である。1446年に李氏朝鮮第4代国王の世宗が、「訓民正音」(훈민 정음,Hunmin Jeong-eum)の名で公布した。北朝鮮ではチョソングルチャ(조선글자,joseongeulja)とも呼ばれる。
韓国、北朝鮮以外でも、旧ソ連の一部などで朝鮮民族の居住地域を中心に使われている。
朝鮮語は15世紀半ばまでそれを表記する固有の文字を持たず、口訣(こうけつ・くけつ)・吏読(りとう)など万葉仮名のように漢字を借りた表記法により断片的・暗示的に示されてきた。このような状況の下で李氏朝鮮(朝鮮王朝)第4代国王の世宗(在位1418年-1450年)は固有の文字であるハングルの創製を積極的に推し進めたが、その事業は当初から事大主義的な保守派から猛烈な反発を受けた。1444年に集賢殿副提学だった崔萬理らはハングル創製に反対する上疏文を提出し「自古九州之内、風土雖異、未有因方言而別爲文字者。唯蒙古・西夏・女眞・日本・西蕃之類、各有其字、是皆夷狄事耳、無足道者。(昔から中国の諸地は風土が異なっても、方言に基づいて文字を作った例はない。モンゴル・西夏・女真・日本・チベットなど は文字を持つが、これらはみな未開人のなすことであり、言うに足るものではない。)」と述べている。世宗はこのような反対派を押し切り、集賢殿内の新進の学者らに命じて1446年に訓民正音の名でハングルを頒布することとなった。字形の由来については起―成文図起源説、パスパ文字起源説など諸説がある。
当時の支配者層である両班(りょうはん、양반〈ヤンバン・韓国〉、량반〈リャンバン・北朝鮮〉)における公的な書記手段は漢文であり、中人・下級官吏の書記手段は吏読であった。従って、ハングルがこれらの階層において正規の書記手段として受け入れられることはなく、その結果ハングルは大体において民衆の書記手段として広まることになる[1]。とはいえ、実際には民衆のみならず、両班階層の私信や宮中の女子間の公文書などにもハングルが盛んに用いられ、その使用はかなり広範囲に及んでいた。
ハングルはまず国家的な出版事業において活用された。ハングル創製直後1447年には王朝を讃える頌歌『竜飛御天歌』、仏を讃える頌歌『月印千江之曲』、釈迦の一代記である『釈譜詳節』が相次いで刊行され、次いで1448年には韻書『東国正韻』を刊行した。その後も国家によるハングル文献の刊行は続き、諺解書(中国書籍の翻訳書)を中心にその分野は仏典・儒教関連書・実用書など多岐にわたる。刊行された書籍は各地で覆刻され版を重ねることが少なくなかった。
- 仏典:李朝初期には刊経都監が設置(1461年)され仏典翻訳が盛んに行われた。『楞厳経諺解』(1461年)、『法華経諺解』(1463年)、『金剛経諺解』(1464年)、『般若心経諺解』(1464年)、『円覚経諺解』(1465年)など15世紀に多くの仏典が刊行された。
- 儒教関連書:李氏朝鮮が儒教を国教としたことにより、儒教関連書は李朝を通して盛んに刊行された。四書五経などの翻訳本として『翻訳小学』(1517年)、『大学諺解』(1590年)、『周易諺解』(1606年)、『詩経諺解』(1613年)などがあり後世に重刊本も刊行された。また『三綱行実図諺解』(1481年)は儒教の民衆教化書として各種の版本が李朝後期まで何度も重刊されている。
- 実用書:『救急方諺解』(1466年)、『救急簡易方』(1489年)、『牛馬羊猪染疫治療方』(1541年)、『分門瘟疫易解方』(1542年)などの医書・家畜防疫書がたびたび刊行されている。また、通訳官養成所である司訳院からは日本語学習書『伊路波』(1492年)、中国語学習書『翻訳老乞大』(16世紀)、満州語学習書『清語老乞大』(1704年)、モンゴル語学習書『蒙語老乞大』(1741年)などハングルで音を示した外国語学習書が刊行された。
主に民衆の書記手段として用いられたハングルであるが、支配層におけるハングルの使用も少なくない。国王の記したハングル書簡としては、世祖の『上院寺御牒』(1464年)、宣祖の『御筆諺簡』(1603年)などをはじめとした筆写文献が現存している。また、李珥(李栗谷)、権好文、金尚容ら両班の文化人が時調(朝鮮の詩歌で和歌のようなものに当たる)を詠む際にも、ハングルが利用された。
ハングルによる文学作品も李朝を通して世に出ている。ハングル創製初期の詩歌『竜飛御天歌』、『月印千江之曲』は上述の通りであるが、それ以降にも『杜詩諺解』(1481年)などの翻訳漢詩集が刊行されている。中宗(在位1506年-1544年)以降の作品として金絿(1488年-1534年)の「花田別曲」、李賢輔(1467年-1555年)の「漁夫歌」、李滉(1501年-1570年)の「陶山十二曲」など、数々の詩歌が残っている。ハングル小説として本格的なさきがけとなったのは許筠(1569年-1618年)の『洪吉童伝』があり、また日記文学『癸丑日記』なども17世紀から見られる。その他にも『春香伝』、『沈清伝』(いずれも年代未詳)などパンソリを起源とする小説がハングルによる書籍として刊行されたりもした。
開化期になると民族意識の高揚とともにハングルが広く用いられるようになる。開化派と井上角五郎の協力により、朝鮮初の近代新聞(官報)である『漢城周報』(1886年創刊)が発行され、これには漢文のほかにハングルのみによる朝鮮文が採用された。それまで公的な文書においてハングルが正式に用いられることがなかった朝鮮において、政府の関与した文書にハングルで記された朝鮮文が採用された意義は大きい。
また、『漢城周報』では漢文的要素の強い朝鮮文である「国漢文」と呼ばれる新たな文体も同時に創作・採用された。国漢文の創作・採用に当たっては日本の漢文書き下し文の文体を参考にしたと見られるが、そのような経緯には福澤諭吉門下の井上角五郎の助力があったと見られる[2]。しかしながら、国漢文は漢文の素養を必要とする文体であったため、一般に広く流布するには至らなかった。1896年に創刊された『独立新聞』はハングルと英文による新聞であった。これは分かち書きを初めて導入した点でも注目される。公文書のハングル使用は、甲午改革の一環として1894年11月に公布された勅令1号公文式において、公文に国文(ハングル)を使用することを定めたことに始まる。
正書法に関しては「朝鮮語の正書法」を参照
どのように多くの人々は映画館に行く2009年にはハングル世界化プロジェクトによってインドネシアの少数民族チアチア族がチアチア語の文字表記にハングルを導入した[3]。チアチア語にはアルファベットやアラビア文字では表せない音があるが、ハングルなら表記が可能であるかもしれないと採用された。現在までのところ不具合もなく2010年より教科書が発刊され今後の行方が注目されている[4]。ただしこの報道には誤報の疑いがあり[5]、世界日報では、実際には現地に韓国教師は派遣されていない上、ハングルがチアチア族の公式文字に採択されたという事実もないとしている[6]。また、朝鮮日報は2011年10月、このプロジェクトが頓挫していることを報じた[7]。
[編集] ハングルの呼称について
[編集] 分断以前
1446年にこの文字が頒布された当時は「訓民正音」あるいは略して「正音」と呼ばれた。これは「民を訓(おし)える正しい音」の意である。しかしながら、この文字は当初から「諺文(언문、オンムン)」という卑称でも呼ばれていた。「諺」とは本来俗語の意であり、中国語に対して朝鮮語を指して「諺」あるいは「諺語」と呼んだものである(文字頒布の書である『訓民正音』においてもこの用語が現れている)。従って「諺文」とは「俗語(朝鮮語)を表す文字」という意味である。この「諺文」という呼称はその後広く用いられ、植民地時代までこの呼称が用いられた。ハングルはまた「諺書」とも呼ばれたが、これは「真書(漢文)」に対する呼び方である。漢字を正統な文字とし、ハングルを卑俗の文字とするこのような呼称は、あたかも日本において漢字を「真名」、カナを「仮名」と呼んだことにも通じる考え方である。それ以外にも「アムクル(암클、女字の意)」、「アヘグル(아해글、子供字の意)」という呼び名もあったようだが、これらはこの文字の主要な使い手が女性や子供であったことに由来する。
「ハングル」という呼称が文献上に初めて現れるのは1912年のことであり、周時経に始まると言われる(異説もある)[8]。この呼称が一般にあらわれたのは、1927年にハングル社から雑誌『ハングル』が刊行されてからとされる[要出典]が、総督府は国語教育では一貫して「朝鮮語」「諺文」(おんもん)を用いている(諺文綴字法など)。「ハン」は「偉大なる」の意であり、「ハングル」は「偉大なる文字」の意である[9]。
[編集] 韓国
大韓民国では以前からの呼称「ハングル」を用いている。また、コンピュータ関連の用語としては「韓国語」の意味でしばしば用いられ、韓国語版ウィンドウズのことを「ハングル ウィンドウヂュ(한글 윈도우즈)」などと呼ぶことがある。
[編集] 北朝鮮
朝鮮民主主義人民共和国では「チョソングルチャ」(조선글자、朝鮮文字の意)もしくは「ウリグル」(우리글、我々の文字の意)と呼ぶ。「ハングル」という呼称は「ハン」が「韓(ハン)」に通じることを嫌ってか、一時期は辞書にすら登録されていなかったが、近年になり朝鮮語学会に対する再評価を受けて「ハングル」という単語も辞書の見出し語として掲載されるようになった。ただし、実際には「ハングル学校」など解放前・解放直後の歴史的な事柄にもっぱら用いられるようである。
[編集] 日本
日本では、かつては「諺文」が日本語読みの「オンモン」と呼ばれていた。また「朝鮮文字」とも呼ばれていたが、ハングルと呼ぶ場合が多い。
[編集] 中国
現在でも中国では「諺文(繁体字)/谚文(簡体字)」(拼音: yànwén 注音: ㄧㄢˋㄨㄣˊ)と呼ばれている。
[編集] 議論
その呼び名をめぐっては誤用・誤解との議論もある。
詳細は「朝鮮語の呼称問題」を参照
[編集] 字母と文字構成
ハングルは表音文字である。ひとつひとつの文字が音節を表す文字体系だが、子音と母音の字母(자모、チャモ)を組み合わせて文字を構成する。このような文字体系をフィーチュラルスクリプトと呼ぶ研究者もいる。
子音字母は基本字母が14個、合成字母が5個の計19個、母音字母は基本字母が10個、合成字母が11個の計21個であり、合成字母を含めた字母の総数は40個である。それぞれの字母は以下の通りである。
なお、1446年当時と現在とでは文字の構成要素も変化している。朝鮮語の音韻に関する諸々の事柄については「朝鮮語の音韻」を参照のこと。また、ハングルの成り立ちについては「訓民正音」を参照のこと。
フリーダ·カーロは、最も有名な作品何だったの[編集] 子音字母
字母 | 発音 | ローマ字 | 名称(韓国) | 名称(北朝鮮) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
基 本 字 母 | ㄱ ㄴ ㄷ ㄹ ㅁ ㅂ ㅅ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ | [k/ɡ] [n] [t/d] [r/l] [m] [p/b] [s/ɕ] ([ŋ]) [ʨ/ʥ] [ʨʰ] [kʰ] [tʰ] [pʰ] [h/ɦ] | g n d r/l m b s (ng) j ch k t p h | 기역 giyeok 니은 nieun 디귿 digeut 리을 rieul 미음 mieum 비읍 bieup 시옷 siot 이응 ieung 지읒 jieut 치읓 chieut 키읔 kieuk 티읕 tieut 피읖 pieup 히읗 hieut | 기윽 gieuk (同左) 디읃 dieut (同左) (同左) (同左) 시읏 sieut (同左) (同左) (同左) (同左) (同左) (同左) (同左) | 그 geu 느 neu 드 deu 르 reu 므 meu 브 beu 스 seu 응 eung 즈 jeu 츠 cheu 크 keu 트 teu 프 peu 흐 heu |
合 成 字 母 | ㄲ ㄸ ㅃ ㅆ ㅉ | [kʼ] [tʼ] [pʼ] [sʼ/ɕʼ] [ʨʼ] | kk tt pp ss jj | 쌍기역 ssanggiyeok 쌍디귿 ssangdigeut 쌍비읍 ssangbieup 쌍시옷 ssangsiot 쌍지읒 ssangjieut | 된기윽 doen-gieuk 된디읃 doendieut 된비읍 doenbieup 된시읏 doensieut 된지읒 doenjieut | 끄 kkeu 뜨 tteu 쁘 ppeu 쓰 sseu 쯔 jjeu |
ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法(국어의 로마자 표기법)」による。
字母「ㅇ」は音節頭の位置にあるときには子音がないことを表し、音節末にあるときには鼻音[ŋ]を表す。
訓民正音創製当時には中期朝鮮語の音韻を表す子音字母として ㅿ [z],ㆁ [ŋ],ㆆ [ʔ] があったが、現代朝鮮語の表記には用いられない。
[編集] 母音字母
基本字母 | 合成字母 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
字母 | 発音 | ローマ字 | 名称 | 字母 | 発音 | ローマ字 | 名称 | |
ㅏ ㅑ ㅓ ㅕ ㅗ ㅛ ㅜ ㅠ ㅡ ㅣ | [a] [ja] [ɔ] [jɔ] [o] [jo] [u] [ju] [ɯ] [i] | a ya eo yeo o yo u yu eu i | 아 a 야 ya 어 eo 여 yeo 오 o 요 yo 우 u 유 yu 으 eu 이 i | ㅐ ㅒ ㅔ ㅖ ㅘ ㅙ ㅚ ㅝ ㅞ ㅟ ㅢ | [ɛ] [jɛ] [e] [je] [wa] [wɛ] [ø/we] [wɔ] [we] [y/wi] [ɯi] | ae yae e ye wa wae oe wo we wi ui | 애 ae 얘 yae 에 e 예 ye 와 wa 왜 wae 외 oe 워 wo 웨 we 위 wi 의 ui |
ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法(국어의 로마자 표기법)」による。合成字母の配列順序は韓国の順序に従う。
訓民正音創製当時には中期朝鮮語の音韻を表す母音字母として ㆍ [ʌ] があったが、現代朝鮮語の表記には用いられない。
[編集] 字母の組合せ
字母(チャモ)を2つ以上組み合わせて1文字を成す。1文字の構成は子音字母 + 母音字母あるいは子音字母 + 母音字母 + 子音字母のどちらかである。音節頭の子音字母を初声、母音字母を中声、音節末に来る子音字母を終声またはパッチム(받침。「支えるもの」の意)と呼ぶ。
初声と中声の組み合わせ方には3つのタイプがある。
가 ga | 中声が「ㅏ、ㅑ、ㅓ、ㅕ、ㅣ、ㅐ、ㅒ、ㅔ、ㅖ」のときは、初声を左に、中声を右に配置する。 | ||
고 go | 中声が「ㅗ、ㅛ、ㅜ、ㅠ、ㅡ」のときは、初声を上に、中声を下に配置する。 | ||
과 gwa | 中声が「ㅘ、ㅙ、ㅚ、ㅝ、ㅞ、ㅟ、ㅢ」のときは、初声を左上に、中声を下から右にかけて配置する。 |
終声があるときは、これらの下に終声を置く。
オレンジ色の部屋を建てた人なお、終声として用いることのできる子音字母は、ㄸ dd,ㅃ bb,ㅉ jjを除いた16個である。また、朝鮮語の形態音素表記のために、終声では2つの子音字母を左右に組み合わせることがある。正書法で認められている組み合わせは、ㄳ gs,ㄵ nj,ㄶ nh,ㄺ lg,ㄻ lm,ㄼ lb,ㄽ ls,ㄾ lt,ㄿ lp,ㅀ lh,ㅄ bsの11種類である。
音価 | 終声字 | 複合終声字 | |
---|---|---|---|
前 | 後 | ||
ㄱ | ㄱ, ㅋ, ㄲ | ㄳ | ㄺ |
ㄷ | ㄷ, ㅅ, ㅆ, ㅈ, ㅊ, ㅌ, ㅎ | ||
ㅂ | ㅂ, ㅍ | ㅄ | ㄼ, ㄿ |
ㄹ | ㄹ | ㄼ, ㄽ, ㄾ, ㅀ, (ㄺ) | |
ㄴ | ㄴ | ㄵ, ㄶ | |
ㅁ | ㅁ | ㄻ | |
ㅇ | ㅇ |
[編集] 辞書における字母の順序
韓国においては次の通りである。
- 初声:ㄱ ㄲ ㄴ ㄷ ㄸ ㄹ ㅁ ㅂ ㅃ ㅅ ㅆ ㅇ ㅈ ㅉ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ
- 中声:ㅏ ㅐ ㅑ ㅒ ㅓ ㅔ ㅕ ㅖ ㅗ ㅘ ㅙ ㅚ ㅛ ㅜ ㅝ ㅞ ㅟ ㅠ ㅡ ㅢ ㅣ
- 終声:ㄱ ㄲ ㄳ ㄴ ㄵ ㄶ ㄷ ㄸ ㄹ ㄺ ㄻ ㄼ ㄽ ㄾ ㄿ ㅀ ㅁ ㅂ ㅄ ㅅ ㅆ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ
一方、北朝鮮においては次の通りである。
- 初声:ㄱ ㄴ ㄷ ㄹ ㅁ ㅂ ㅅ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ ㄲ ㄸ ㅃ ㅆ ㅉ
- 中声:ㅏ ㅑ ㅓ ㅕ ㅗ ㅛ ㅜ ㅠ ㅡ ㅣ ㅐ ㅒ ㅔ ㅖ ㅚ ㅟ ㅢ ㅘ ㅝ ㅙ ㅞ
- 終声:ㄱ ㄳ ㄴ ㄵ ㄶ ㄷ ㄸ ㄹ ㄺ ㄻ ㄼ ㄽ ㄾ ㄿ ㅀ ㅁ ㅂ ㅄ ㅅ ㅇ ㅈ ㅊ ㅋ ㅌ ㅍ ㅎ ㄲ ㅆ
[編集] ハングルのローマ字表記
文化観光部2000年式、マッキューン=ライシャワー式、北朝鮮1992年式などがある。
詳細は「朝鮮語のローマ字表記法」を参照
[編集] 文字コード
[編集] 完成型と組合型
字母を組み合わせて作られる文字の理論上の組み合わせは11,172文字だが、実際に使用されるのはその半分以下である(1987年に韓国の国家標準となったコンピュータ用の文字セット(KS完成型、KS C 5601-1987)には日常の99%が表記できる範囲として2,350字しか含まれなかった)。なお、1994-1995年ごろまでは11,172文字全部を表現できる文字セット(組合型、johab)が圧倒的に多く使われていたが、Windows 95でKS完成型を拡張した文字セット(拡張完成型、UHC (Unified Hangul Code))を採用し、後のWindowsにも使用されたため、現在は組合型文字セットはほとんど使われていない。なお、Windows NT系ではUnicode 2.0(KS C 5700、現:KS X 1005-1)以降をサポートしている。
[編集] Unicode
Unicode にはハングルを符号化するための文字が数種類あり、標準的に使用されるものは、ハングル字母 (U+1100-11FF) とハングル音節文字 (U+AC00-D7A3) である。
ハングル字母はハングルを構成する字母で、これらを合成する事により15世紀から現代までのハングル音節文字を作成できる。U+1100-115F は初声子音、U+1160-11A2 は中声母音、U+11A8-11F9 は終声子音が定義されている。
ハングル音節文字は、2 つの字母からなる音節 399 文字、3 つの字母からなる音節 10,773 文字の合計 11,172 文字で構成されている。
この他にハングル互換字母 (U+3130-318F) があるが、KS完成型(KS C 5601-1987、現:KS X 1001:1998)との互換性のために存在する。
[編集] ハングル大移動
Unicode では、Unicode 1.1 以前と Unicode 2.0 以降ではハングルを定義する領域が異なっており互換性がない。
Unicode 1.1 までは U+3400-4DFF にハングルが定義されていたが、Unicode 2.0 制定時に、新しく U+AC00-D7AF にハングルが定義され旧領域は破棄された。その際、韓国の要求により KS C 5601-1992 の組合型文字セットに基づく現代ハングル音節文字 11,172文字 が網羅されている。なお Unicode 2.0 で破棄された領域は、Unicode 3.0 制定時にCJK統合漢字拡張 A 集合として U+3400-4DBF に定義され、Unicode 4.0 制定時に易経記号集合として U+4DC0-4DFF に定義されている。
[編集] 漢字復活論
表音文字であり多数の意味に通じる(同音異義語が多い)ことから、漢字の見直しが始まっている。しかし漢字を使うことに反発を覚える人も多く、あまり進んではいない。日本語と違い韓国・朝鮮語では音節が多様なので同音異義語が相対的に(完全に回避は出来ないが)少ないことも理由である。ベトナムで漢字復活論が下火なのも、ベトナム語の発音の複雑さ、声調により同音異義語が(完全ではないにしろ)回避されているからだという意見もある。
[編集] ハングルの起源に対する学説
ハングルの起源には諸説があり、定説はない[10]。一般には子音要素の字形は舌根閉鎖の形、舌尖閉鎖の形、唇を閉じた形、歯の形、喉へ通じる形を元にし、母音要素は易の「天・地・人」三才の思想と五行思想から吟味されて字形が創られたとされる[11]。
コロンビア大学のガリ・レッドヤード名誉教授は、ハングルは元朝のパスパ文字と表記法や字形が酷似しており、パスパ文字を参考に考案された文字であるとの見解を示している。
また高麗大学校の鄭光名誉教授は、元の影響を大きく受けた高麗だけでなく、朝鮮初期の知識人もパスパ文字については相当な知識を身につけていたとした上で、ハングルは漢字音を表記するために創られたと考えており、中国の漢字音を表記するための手段だったこと、中国の伝統的な頭子音を表す36字母を基本に作られたこと、母音の概念を込めた喩母字7つを導入したという点でパスパ文字から影響を受けたとしている。しかし海外で展開されているような、字形そのものもパスパ文字から変形・模倣したとの説に対しては否定的であり、「中声(母音字)を独立させて初声(頭子音字)とともに人類最初の字母文字を作ったのは事実」とする。また当時において「韓国語の音韻を分析し、子音と母音を抽出してここに文字を一つひ� ��つ対応させて作った」というのは誤解であるとし、言語学での音韻分析は19世紀に初めて提起された方法であり、これを韓国人が560年も前に認識していたとの考えは「現代的な偏見」であるとしている[12]。
文字要素の構成法(組み合わせ方)に関しては、ウイグル文字に影響を受けた契丹文字(契丹小字)からの影響であると考える学者もいる(西田龍雄など)。しかしどちらも漢字の影響と考えることもできる[13]し、また初期のハングルにおいて三重子音要素をも横に並べ、母音を含めて横は最大4つの要素を並べることができた点は漢字とも契丹小字とも異なる発想である。これらの点からすると、漢字の影響ともチベット文字の影響ともすることができる[14]。
[編集] 朝鮮語以外のハングル表記
言語学の知識に乏しい韓国人の中には「ハングルは世界中のあらゆる言語を正確に表記できる文字体系である」と主張する者もいる。これは韓国においてハングルが民族の誇りとして扱われており、また実際にハングルの文字体系としての一定の合理性が指摘されているため、それを言語学に無知な人間が誤解したものである。無論朝鮮語を表記するのには優れた文字であるが、世界中の言語を正確に表記することは、他のあらゆる文字でそうであるように、ほとんど不可能である。
例えば日本語をハングルで表そうとする場合、濁音、「ツ」を標準的表記法(一例)で正確に表すことは難しい。さらに、ㄱㄷㅂㅈは、原則として語頭で無声音になるため、例えば「다시」が、「ダシ」ではなく「タシ」に近い音となる。「ザ行」も「ㅈ」[tʃ/dʒ]で代用するため、代用表記そのままで発音すると「ざる」が「チャル」、「かざり」が「カヂャリ」に近い音になる。またハングルには "F" にあたる子音字がなく(通例外国語を表記する際はㅍで代用するが、ㅎで代用される場合もある)、後に母音が来ない子音は何らかの母音をつけて表記する場合もある(例:psi(ψ)→프시/pɯsi/)。
Wikipedia内の外国語表記の案内
[編集] 北朝鮮における表記
有声歯茎破擦音は一律平音の「ㅈ/j/」で表記し、有声歯茎硬口蓋破擦音は「ㅈ」の後に「ㅣ/i/」か点が2つある母音字 /y/ で表記する。日本語で言うなら北朝鮮ではザとジャを区別するが南の韓国では区別しないということである。
無声歯茎破擦音は激音の「ㅊ/c/」で表記し、無声歯茎硬口蓋破擦音は「ㅊ」の後に「ㅣ/i/」か点が2つある母音字 /y/ で表記する。日本語で言うなら北朝鮮ではツとチュを区別するが韓国では区別しないということである。
[編集] オンヌリ・ハングル
通常のハングルでは無理だが、ハングルの造字原理に沿って文字数を拡張した「オンヌリ・ハングル表記法」を使えば、世界中の言語を正確に表記できると主張する学者もいる(オンヌリは「全世界」の意)。この表記法によれば、例えばv音は凵、f音は工の字形で表記される。オンヌリ・ハングルの考案者である鄭元洙(チョン・ウォンス)忠南大学教授は「この方式で日本語の350種類、中国語の420種類の音節をほぼ完全にハングルで表記できる」「複雑な中国語をハングルで表記できる以上、ヒンディー語やタイ語、アラビア語などにも十分に適用できる」「読み書きがし易く、科学的なハングルで、文字を持たない民族の言語を表記できる日も必ずやってくるだろう」と主張している[15]。
もっとも、既に文字のあるヒンディー語等や、朝鮮語話者には難しい発音をわざわざ表記するメリットは不明。また既存の文字に新しい記号などを加えて、その文字に存在しない音素を表すことは、ハングルに限らず、どの文字にもできることである。
[編集] 世界で最も優秀な文字という説
韓国の国際神学大学院大学が主催して、ハングル学会などが後援する第1回世界文字オリンピック[16]でハングルが1位となり、世界最高の文字と認められた[17]。しかし、「韓国で開催される」「ハングル学会が後援する」「変化の少ない文字を数年間隔で比較する」など、明らかに合理性に欠けた出来レースだと思われる点が多々存在する。第2回世界文字オリンピックは2012年3月に韓国の釜山で開催予定。
また近年、「ハングルが世界中の言語学者の間で最も優秀な文字であると認定されており、国連が文字のない民族に対してハングルの普及を推進している」という主張が小学生用の国定道徳教科書に掲載されていた。しかし、2011年3月に韓国の一部のメディアの報道で、これがインターネットで広まった噂であり、事実でないことが指摘された。教育科学技術部は記述を訂正する姿勢を表明している[18]。
2013年には「ハングルの優秀性」をアピールするハングル博物館がソウルに開館予定である[19]。
「韓国の民族主義」も参照
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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